2008年06月20日

高デメリット・高リスクの穀物製バイオ燃料

 まずはじめに研究が行われたのは、日本においてはある大学のエタノール自動車の研究から始まったことと思われるが、当初、開発された穀物製バイオ燃料は原材料の量に対し、平均しておよそ 5〜7 %のエネルギー生産しかできなかったと思う。(因みに、原子力は九電比率で96%が正味で4%が燃えカスとなる)

 現在の穀物製バイオ燃料は原材料の量に対し、平均しておよそ 10 %ほどしかない。


(予断であるが、ガソリンは完全燃焼するために温室効果ガスをそれだけ多く発生させるが、ディーゼルは不完全燃焼であるのでガソリンの場合のように温室効果ガスを発生させない。また、ディーゼルは粉塵を出さないよう改良されており、環境に配慮した開発が行った企業があったため、その部品を使用している車両が飛ぶように売れたらしい。)


 海外においては、ブラジルとアメリカは、1970年代から始まった政府による強力な支援によって世界のエタノール燃料生産の90%を占めておる、2000年より世界のエタノール燃料生産量は2倍以上に増えている。

 なお、一般的なバイオ燃料はエタノール(原料は砂糖と小麦や大麦、米や大豆などの穀物)と、バイオディーゼル(植物性油と動物性油脂)の2つである。

 これらのバイオ燃料は、エネルギー生産が化石燃料よりもぐんと低く、バイオ燃料のエネルギー生産量では満たせないので、化石燃料とあわせて使われている。(割合は3割ぐらいだろうか…?)


実質上の「エタノール燃料の原料別生産コスト」は
2006年度の時点で、IEA Reuters, DOE $/L
サトウキビ(ブラジル)   $0.30-$0.60
トウモロコシ(アメリカ)  $0.40-$0.60
ガソリン卸売価格      $0.40-$0.70
小麦・大麦などの穀物(EU) $0.50-$0.80
セルロース         $0.80-$1.20

となっている。

 しかし、実際のエネルギー生産コストを考えれば、エネルギー生産量が少ないだけに、コスト高となり、非効率的で採算が合わない。



 バイオ燃料の今後の成長は、変換工程の効率化、そして生産に適した土地や水などの農業資源に左右される。

 市場の拡大に伴って、次のような問題が浮上する。

@土地や水という資源をめぐる競争の激化
A地下水の枯渇
B土壌汚染
C熱帯雨林など生物学的に豊かな生態系の損失
Dバイオ燃料によって食料価格が高騰する
Eバイオ燃料使用によって、ナノ物質公害の発生によって発がん性を引き起こす患者が増える。(研究機関での報告が多数ある)

 またこうした作物は栽培方法によっては、土壌の炭素を隔離したり、大気中の炭素量を減らしたりする機能もある。しかしながら、自然の草地や森林を開墾して、そこに化石エネルギーを大量に投入して、単位面積あたり収量の少ない作物を栽培して、これを原料にしたり、さらに燃料に加工するのにするためにも少なからぬ化石エネルギーをつかったりすれば、化石燃料と同等か、それ以上の温暖効果ガスを引き起こしかねない。

 また、水資源の少ない場所で作物を栽培する方法では、その多くは地下水を掘っては使用している。このような栽培の過程での立地条件が揃っていない場合には、生産量を増やすために、地下水を枯渇させては井戸を掘り…といった繰り返しを行うと、その土地を完全に砂漠化してしまうことになる。しかも、地球という惑星の活動スケールで、非常に長い時間をかけて少しずつ蓄えられた地下水だから、そう簡単には戻らない。今のままの流れていけば、地下水が元に戻った頃には、現在生息している生物のほとんどは絶滅していることだろう。


 尚、これらについてのデータは、そのほとんどがこれまでリサーチで得てきた情報で、教養番組やサイエンス番組で集めたデータのほか、『今水が危ない 改訂版―保存版地球環境白書』・『図解地球の真実―ひと目でわかる温暖化の今と未来 世界の、とても不都合なこと』・『地球環境データブック 2006-07 輸送用バイオ燃料 鳥インフルエンザ ―ワールドウォッチ研究所 (2006)』など、数多くのデータをもとに記載している。


 それは 4 月の中頃の話になるが、『食糧サミット開催提言』において「国連が価格高騰に危機感」を示したことが報道された。ちょうどこの返答に当たる、米国からの返答に当たるバイオ燃料反論についての報道をたまたま見つけたので、取り上げようと思う。

 現在のブッシュ政権といえば、かつて nature 誌のニュースでブッシュ氏が学生の頃最低学力を示す「All=F」だったことが報道されたが、実はブッシュ政権の取り巻きというのも、同レベルのようで、地球環境における温室効果ガスの削減のための計算を、自身の地域だけ「絶対静止性の自分だけやっていればいい」スケールでの足し算引き算しか出来ないお偉方がばかりだったことから、nature誌関連者だけでなく、多くの科学者を怒らせた。

 そして、今回も相変わらずだが、下記のような報道があげられていた。実際に問題になっているから挙げられた話であるのに、現実に対して、これだけ認識できないのも珍しい。面倒なので直接コメントをつける。

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米、主導権発揮へ バイオ燃料反論
 GM作物普及の思惑 食糧サミット
6月3日15時31分配信 産経新聞
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 【ワシントン=渡辺浩生】3〜5日にローマで開催される国連食糧農業機関(FAO)主催の「食糧サミット」で、米政府は世界的な食糧危機への対応に主導権発揮を狙っている。食糧価格高騰の主因というバイオ燃料批判をかわすとともに、農業生産性向上には、米主導で開発を進めてきた遺伝子組み換え(GM)技術を途上国に普及させたい思惑がある。

 ブッシュ政権の代表団を率いるシェーファー農務長官は出発を前にした会見で、「米国の貢献は世界の食糧援助の2分の1を占めている」とし、緊急人道援助、食糧供給拡大、農業技術支援を主導し、各国の協力を強く促すと述べた。穀物の主要生産国には「自国を優先した輸出規制は食糧価格に逆効果」として、解除を働きかける考えだ。

(注:輸出に依存した場合、食糧危機に陥ると、大きな打撃を受けることになる。日本もその例に漏れない。気象の影響や水不足などで、農業が不作になるなど、食糧危機などが引き起こった場合、対処できないこと自体の方が最も深刻な問題となるであろう。基本的に生物は自給自足である。)


 米バイオ企業が開発を進めてきたGM作物は、国内でトウモロコシの73%、大豆の91%と、穀物生産の大半を占めるまでになっている。ブッシュ政権は「急増する食糧需要に対応する有効手段」と途上国にアピールし、普及を促す方針だ。

(注:これを「経済馬鹿」といい、本来の経済学では「資源時配分上の計算」がベース・スケールとなり、コンテンツや収支などの物理に対して、それぞれの需要と供給の見込みを行って計画を立てるものである)

 一方、サミットの焦点のひとつになっているバイオ燃料をめぐっては、FAOと経済協力開発機構(OECD)が作成した最新報告書で「商品価格の上昇を支える大きな要因」と指摘され、トウモロコシを原料としたエタノール増産目標を掲げるブッシュ政権に批判が集まるのは確実だ。

 これに対し、ブッシュ政権は「気候変動や原油高などさまざまな原因のひとつにすぎない」と主張、「石油の消費を減らし、環境と原油高への対処に役立つ」と、長期的利益をあくまで擁護する構えだ。

(注:物流の流れは滞っている上、食料を得られない人々が増えた事態から「価格高騰に危機感」を示させては、意味がない。また、バイオ燃料の原料に使用されている量からすれば、「価格高騰」や貧困層に食糧危機が発生するのは、数字からして、即わかる話である―つまり、やり方が悪すぎる)

 サミットには、国連の潘基文事務総長や約40カ国の首脳、151カ国の代表団が参加。1億人が空腹や飢餓の危険に直面、暴動や政情不安が広がっており、「具体的な行動が急務」(ゼーリック世銀総裁)とされている。


 因みに、レスター・ブラウン誌の『フード・セキュリティー 〜 誰が世界を養うのか』という本があるが、これには世界の総人口においての食糧危機問題が取り上げられている。中でも、〔「人口13億の中国が」世界の穀物を買い占める日〕という章がクローズアップされている。

 しかし、基本的には、グローバル・セキュリティーをめざしている研究者たちの本であるので、至って物理的な支点、かつ生物学的知見や経済学の知見を交えての考察となっている。

 多くの章の中でも、地球資源配分問題においては、個々それぞれに資源外聞を当てるには、既に限界が来ていることや、〔地球号の定員は70億人か?〕といった章もある。

 そう。そもそも人類の総人口は多すぎるのである。

posted by 0≠素子 at 13:52| Comment(0) | enelgy industry - exploitation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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