2008年06月24日

海外において波力発電が波に乗れないのは何故か?(1)

 まず、全体図を把握し易いように、海外における世界スケールにおいての波力発電についての流れを追って、まとめて行きたいと思う。

 但し、現在はまだ下書きの段階であり、纏め上げた後で編集することとなるが、参考としている文面は下記のようなデータを元にしている。

### 参考文献 ###
nature 450,135-318 8 November 2007 no.7167
News Feature p.156-159 / To Catch A Wave / Ewen Callaway repots
nature DIGEST 日本語版 January 2008 Vol.05, No.1(1月号)

### 関連記事 ###
nature誌で取り上げられた波力電気を経済工学的に調査する。
波力発電と潮力発電の違い


 また、日本国内の場合は、高度経済成長期の中で、独自の能力を確立しているため、別口として、参考となるデータを示す。また、その独自に確立された性質については、次の機会にレポートをまとめる予定にしている。

### 波力発電 ###
波力発電 - Wikipedia
波力発電の現状
波力発電システム


 以下に、個人研究のレポートをまとめる。



 実は、波力エネルギー研究には、200年の歴史がある。その間。あふれるほどのアイデアが寄せられたが、成果はほとんど得られなかった。

 1799年、フランスのエンジニアの Pieree Girard とその息子が、波のエネルギーを利用する方法に関する最初の特許を申請したのが始まりとなる。

 この装置は、厚板と梃子台を使って、沖に係留された船の上下運動を重機に伝えるものであったが実際に組み立てられることはなかった。

 その後、19〜20世紀を通して、発明家の作業場から少しずつ生まれてきたが、実際に実用できるものとしてのものとは程遠く、広く利用されるほど高い出力が得られるような発電装置は出来なかった。


 1970年代に入ると、波力エネルギー推進派は、作業場から政府象徴へと移動し始めた。石油輸出国機構(OPEC)による石油の供給制限の結果、1970年には 1 バレルあたり 38米ドルまで高騰した。

 中東産の石油への依存から脱却しようとする多くの国々が再生可能エネルギーに注目し、風力エネルギーや太陽光エネルギーの研究に力を入れるようになった。

 また、他方では、海からエネルギーを得る技術として、米国は深層水と表層水の温度差を利用して熱エネルギーを得る技術の研究を進めていたが、失敗に終わった(参照:nature 450,135-318 8 November 2007 no.7167 p.158 / Energy from the sea)。

 一方、絵う国は波力エネルギーの研究で主導権を握った。


 1974年、英国政府は、学界や産業界に対して、同国が波力発電を主流にしていくための計画を作成するように依頼した。この当初、初期の波力発電装置の試作品は、〔救いようのないほど不経済な代物であった〕と研究者の Thorpe は語っている。

 この計画は、それぞれ1億米ドル以上もする巨大な波力発電装置を使って、原子力発電と石油火力発電による発電量にほぼ等しい 200 万キロワットの発電を行い、これらに取って代わるというものだった。

 但し、そうした大幅な技術的進歩が可能になると考える根拠が示されていなかっただけに、計画書で提案されたプラントは、いずれも建設されたかった、と、Thorpe は言う。

 1983年には技術開発の進行状況についての報告書が作成され、波力発電技術はいまだに実証されておらず、過大なコストを要すると指摘されたところで、英国の波力エネルギー開発は暗礁に乗り上げるに至った。

 この報告書の批判的な記述に裏切られたと感じたデベロッパーたちは、Thorpe に再評価させるように政府に働きかけたが、Thorpe が1992年に提出した報告書でも同じように懐疑的な結論が示されたという。

:実際に内容を見ていないので、何とも言えないが、波力電力設備でかかるコストや維持のコストなどに対して、エネルギー生産量の生産量から考えるに、おそらく、物理的に実用性が認められなかったことからが大きいかと考えられる。)


 風力発電が軌道に乗った1980年代、波力発電は、そのルーツである大学の研究室や発明家の作業場へと帰っていった。(:日本国内の場合、風力発電の研究は、大学や特殊財団による研究機関などの系列と、エネルギー産業に別れる。日頃の経験値の実益から、特に電力系列の活動が実働に乗っており、電力会社系列では、顧客より『グリーン電力基金』を募って、毎年公募者を募って、該当したところに風力発電などの設備を設置している。)

 そして、初期の失敗と、海底石油掘削装置から得られた教訓などが、新世代の発電装置の設定に指針を与えるようになった、という。

:が、しかし、この文面を書いている自分、即ち、私的な見解においては、日本国内の科学技術関連の研究機関によるものや、電力会社といったエネルギー産業関連やメーカーのデータを見る限り、知識や技術力など、ノウハウの課程などにおいて、経験値などの差が直接影響していると示唆されているものがしばしばある。更に、実働のベースではどうなのかといえば、やはり、そこはノウハウの差が出ているのではないかと思えてならない。そして、おそらく、これを専門家が見れば、同じ見解を示すものだと考えられる。)


 現在のところ、50以上の波力エネルギーのプロジェクトが進行中であり、今年新たなプロジェクトも登場している。アナリストは、これらの波力電力装置を6種類以上に分類している。(参照:『nature誌で取り上げられた波力電気を経済工学的に調査する。』)

 参照に上げたものは、6種で、簡易化して大まかに整理したものである。

 これらのプロジェクトには、それぞれが独自の技術によって、波からエネルギーを生み出している。


 開発の初期段階で多様な方式が提案されるのは、ごく当たり前のことであるが、米国カリフォルニア州パロアルトのシンクタンク Electric Power Research Institute のアナリストである Roger Bedard は、「10年もすれば実用性のあるものとないものがあきらかになるだろうが、現在の流れではレースはまだ混沌としている」という。

 これに対し、英国の研究者である Thorpe は、より懐疑的な見方をしている。なぜなら、アイデアや特許ならごまんとあるけれども、そのいくつかは物理法則に反しており、多くは技術的に不可能であることで、もっと多くは、経済性の点で魅力がないからだ、という。

 しかし、経済性の点で見るならば、実際に実用的に使えるように、安定したものであって効率的にエネルギー生産しようとするなら、低圧ポンプが必要となり、更に、災害にも耐えられるようにしなければならないとなると、かなり大型の発電装置となり、波力電力はコストが海外のものよりかなり大きなものとなる。エネルギー生産の量からすれば、採算を見た場合に経済性の点で魅力がないだろう、というのが、私的な見解だが、この見解は、おそらく、日本国内のエネルギー産業に勤める人々や、技術者や技術系の専門家も同じような見解を持つことだと考えられる。

 現に、Thorpe らのような促進派の研究者たちが、極めて有望だと考えられる設計ですら、ごく小さな技術的なトラブルによって水の泡と化す可能性が非常に高い。

 今後 10〜15 年のタイムスケールで経済性の問題をクリアする見込みのあるものはごく少数であると言わざるを得ないと、Thorpe はいうが、おそらく、その見解には、日本の電力産業や需要者である国民が求めるような、「効率的で安定した電力供給を根底にする」といったものを重要としておらず、あくまでも「如何にコンパクト化してローコストで生産できれば良い」ところにあるようにあるかと考えられる。なぜなら、彼らにはインシデントレスポンスの視野が非常に狭いからだ。

 小さな欠陥による失敗は、外洋での使用に耐える装置を設計することの難しさを浮き彫りにすると彼らは言うが、日本企業における製造側の技術関係者には、小さな欠陥を起こさないようにあらかじめに耐性を持つように計算し、インシデントレスポンスを行った上で、設計し、何度も試行テストを行った上で、ラインに乗せているため、そういった専門課程を踏んだ人物である場合、素人であるか極めて初歩的なミスだと考えるだろう。

 波の形さや様々であり、自然環境だから荒れることもあれば、自然災害級の力が加わることもある。しかも海水だから化学変化も起こすため装置の弱い部分が劣化することもある。

 もっとも、設置場所が陸ではなく、海であるので、それだけに、メンテナンスや、維持するためのコストがかかることは、当たり前の話となる。

 しかし、Thorpe らのような促進派の研究者たちは、このような自然界の物理現象を無視して、「波力発電装置が定期的なメンテナンスを受けることなく長期の使用に耐えられるためには…」と考えている。

:だが、環境が海であるだけに、こまめな定期的なメンテナンスを行わなければ、長期の使用に耐えられない。これは、海に近い陸で海風にさらされる自動車でも同じ話である。)

 しかも、これらの海外のプロジェクトの装置には、平均的な波によって稼動するように設計されている。これに対して、Thorpe らのような促進派の研究者たちは、「波力発電装置が定期的なメンテナンスを受けることなく長期の使用に耐えられるために、平均の20倍の強さに耐えられる設計が必要なのだ」と考えているらしい。

 ところが、台風やハリケーンなどの災害時のことを考えれば、平均の20倍ではなく、50倍の波に耐えられる設計が必要となる。

 このような話はまだ続く。そのような海外の促進派の研究者である彼らが、とった手段とは、耐性の補強もしないままの装置のままにしており、新しい発電装置の多くは、平均的な波に耐えられる設計のままの状態で、海が荒れたときに備えて、海底にゆるく固定させ、波の衝撃を吸収しやすいようにしているという。

 そのような対応をしている研究者の一人である Hagerman は、「海は、これらの構造物に本当に大きなダメージを与える」という。更に、「外洋の波力発電施設は、数年間は放置して、〔しけ〕に耐えられることを示さなければならない」という。

 日本国内でこんな話をされれば、技術者はもとより、一般人からも罵倒の嵐が吹くこととなるだろう。因みに、我が家では、夫が生粋の技術職人であるだけに、それ相応の罵倒の嵐が吹いた。自身といえば、あまりのレベルの低さに唖然としていた。この手の情報が nature誌に載せられる度に、「nature誌をやめてしまえ」と夫から苦情が入るのは、言うまでもない。だから、自身はその度にnature誌についての苦情を書くことがある。なぜなら、nature誌といえば、Ph.dの集まりで運営されている科学論文誌である。せめて、扱う情報についての専門知識を持っている人材で運営されなければ、正確な情報が示せないだけ情報価値がない。少なくともレベルは保ってほしいところだからだ。

 海外において波力発電が波に乗れないのは、即ち、プロジェクトを行っている関係者のレベルが低いところにある、といえる。


 しかし、そういった技術的な問題を多く抱えつつも、「技術的問題より個々の装置が沈没することがあっても、波力電力そのものが頓挫する可能性は低いだろう」と Thorpe は極めて楽観的に見ている。

 即ち、計画が失敗したときに残る〔負債総額〕はどうするのか?…についての認識が欠落している。このような問題は、少なくとも日本の企業では、大問題となり、株主や社会にどう説明するのか、そして、どのような対応をするのかを株主に説明して理解を得なければならない。―こういったリスクの計算が彼らには欠落しているのである。このような甘い認識が、技術力の甘さにもつながっているのだろう。

 Thorpe は、むしろ、伝統的なエネルギー源やその他の再生可能エネルギー源と競争しながら波力電力装置を開発することを目標に置いて、波力電力を促進させることに意義を見出すことを意図としている。このため、「電力を供給していくコストの方が大きな問題になる」と考えている。

 しかし、計画が失敗したときの〔収益損失〕や〔負債総額〕、〔それまでにかかったコストの未回収問題〕に〔減価償却〕倒れがどんなに大きな損失であるのかを、彼らはよく理解していない。

 研究機関のプロジェクトの場合、行政機関などの予算を受けて、それをを資金源としているが、予算が小さいため、一般投資家からの投資を受けての資金を受けており、デンマークのニスムブレドニングの入り江で研究している、Steenstrup の The Wavestar Project でさえ、「ウェブスター」の 最近の研究資金の約4分の3は個人投資家から資金を得ているという。

 エンジニアの Steenstrup にとっての最も差し迫った関心ごとは資金調達であり、商業化に打って出るためには、Steenstrup の 希望を託した現在のプラットホームの約5倍の規模の「ウェブスター」を建設が必要だと考えており、試作機第一号には 1100 万ドル(約 12 億円)が必要だと見積もっている。

 しかし、一般投資家を募った場合には、投資を受けただけの社会責任が生じる。商業化に出てしまえば、株式となるので、株主に損失を受けさせるわけには行かなくなる。計画においても、失敗したにおいても、投資を受けている以上、株主が納得いくだけの説明をして理解を得なければならない。商業化すれば、当然、マネーフローや運営についても、適切な管理が要るから、失敗したときの負債総額は運営にとって大きな痛手となるのは当然の話なのだが、こういったことさえ認識がないらしい。


 このような経済において無知な研究者が第一線で活動しているという大問題があるという目の前にある現実にかかわらず、Thorpe は、「技術的には成功するだろう」と極めて楽観視しており、「問題はコストダウンである」と考えている。

 つまり、マネーフローは水のような性質であることも認識しておらず、経済的なマネーフローの流れも、自然界の振る舞いと同じように時としては自然災害のように波が荒れることも計算に入れずに、絶対静止性で計算を入れているが、このようなスタイルの場合、最も倒産し易い企業の典型的なタイプである。

 このような一般的な経済の知識に疎いらしいその見解では、「コストダウンに成功するものもあるだろうが、その数は多くないだろう」とThorpe は楽観的な想定をしている。

 しかし、その試算法は、少なくとも経理や経済学の計算とは程遠いものとなっている。つまり、基礎的な経済に関する知識さえも、一般的な経済の知識さえもなく、あくまでも装置を運営するだけの試算しかできていない。


 波力電気促進派の彼らは見落としているが、仮に、商業化のウエブスターの試作機第一号が失敗した場合、「 1100 万ドル(約 12 億円)」が水の泡となるのだから、当然、経済上の社会責任が必要となる。

 一般投資家が娯楽で投資していない限り、或いは、物理の成り立ちなど物事に無知な投資家でない限り、まず投資は行わないだろう。

 一般的な投資家である場合、その多くは利益を求めてのものである。玄人である場合、客観的且つ懐疑的に見て冷静に対応するのが一般的で、極めてシビアに見る傾向にある。考えられる損失やリスクから考えて、初めから手をつけないのが自然である。

 なぜなら、一般投資家において、同じ投資をするなら、いつ失敗するかわからない危険性をはらんだプロジェクトに投資するより、もっと先見性のある良質のコンテンツを探して、生きる投資をした方が確実だからである。

:もしこれが株式取引なら、いつか失敗することを知っていても、値が上がることを見込んで株を買い込み、素人から利益を得るために、頃合に手放して利益をえることさえあり、まず損失で泣くようなことはしない。逆に、頃合に大口で手放して大幅に下落を引き起こし、つぶす事などもできる。そこはマネー・ゲームの成せる業で、気分次第によるだろうが、一言で言ってしまえば、「食えない奴」にあたる。そういった人材は世界で一握りだが、そういった玄人も存在する。知識のある経験豊富な投資家は一般的に計算高い。だから、投資家を甘く見ない方がいい。―結論から言えば、投資家を最も敵に回しやすいタイプが波力電力推進派のような性質を持つものとなっているからだ。)


 これらのような、様々な問題を数多く抱えていることもあって、現実ベースでは「海外において波力発電は波に乗れない」と、著者は推測する。



 次回、各国ベースでの経済面について見ていく。


 
posted by 0≠素子 at 12:00| Comment(0) | enelgy industry - exploitation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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